自動車保険のパンフレットや損保会社のWebサイト、自動車保険の情報サイトを見ると、ノンフリート等級という言葉は必ず目にします。
初めて自動車保険の契約をしようとしている人にしてみれば、聞き慣れない言葉でしょう。すでに自動車保険に加入している人にとっては、当たり前の言葉です。
ノンフリート等級制度は自動車保険料への影響が大きい重要な要素。ですから、きちんと理解しておく必要があります。
ノンフリート等級とは
ノンフリート等級制度とは、事故歴を自動車保険料に反映するための制度です。
それを表す数値がノンフリート等級になります。
20等級まであり、等級が高いほど保険料の割引率が高くなる
ノンフリート等級は1等級から20等級まであります。
等級は高ければ高いほど、保険料の割引率が高くなります。逆に、低ければ低いほど、保険料の割引率が低くなったり、割増になったりします。
等級 | 無事故 | 事故あり |
---|---|---|
20等級 | 63%割引 | 44%割引 |
19等級 | 55%割引 | 42%割引 |
18等級 | 54%割引 | 40%割引 |
17等級 | 53%割引 | 38%割引 |
16等級 | 52%割引 | 36%割引 |
15等級 | 51%割引 | 33%割引 |
14等級 | 50%割引 | 31%割引 |
13等級 | 49%割引 | 29%割引 |
12等級 | 48%割引 | 27%割引 |
11等級 | 47%割引 | 25%割引 |
10等級 | 45%割引 | 23%割引 |
9等級 | 43%割引 | 22%割引 |
8等級 | 40%割引 | 21%割引 |
7等級 | 30%割引 | 20%割引 |
6等級 | 19%割引 | |
5等級 | 13%割引 | |
4等級 | 2%割引 | |
3等級 | 12%割増 | |
2等級 | 28%割増 | |
1等級 | 64%割増 |
新規加入時の等級よりも低い5等級以下のことをデメリット等級と呼びます。中でも3等級以下は保険料に割増率が適用されます。
また、7等級以上では、同じ等級でも事故ありと無事故で割引率が変わります。
保険適用の事故を起こした場合に、一定期間、事故有係数適用期間が設定されます。その間は同じ等級でも割引率が不利なテーブルになるのです。
この事故有係数適用期間ですが、事故によって設定される期間が異なります。後述する等級ダウン事故の3等級ダウンのケースでは3年、1等級ダウンのケースでは1年が設定。期間中にさらに等級ダウン事故を起こした場合は、そのぶんが加算されていきます。
ノンフリート等級の制度そのものは損保各社共通ですが、保険料の割引率・割増率は若干異なります。保険料を見直す場合は、比較してみると良いでしょう。
最初は6等級。1年間無事故で1等級上がる
新規に加入した場合のノンフリート等級は、通常6等級からはじまります。
そして、1年間無事故だったら次の契約更新時に1等級アップします。ですから、初めて自動車保険に加入した人が一番上の20等級になるまでには最短でも14年かかる計算に。
ただ、新規加入時の等級に関しては、例外があります。
1つは等級を引き継いだ場合。自動車保険のノンフリート等級は引き継ぐ相手だったり期間だったり条件はありますが、等級を引き継ぐことができます。引き継いだ場合は、もっと高い等級での保険加入が可能です。
もう1つは、2台目(セカンドカー)以降の自動車を購入して、保険契約する場合。いずれの車両も個人所有であったり、契約車両の所有者や記名被保険者が同一人物、もしくはその配偶者や同居の親族であったりなど、条件があります。ただ、その条件をクリアすれば、6等級ではなく7等級からのスタートになります。
保険を使う事故を起こすと1件につき3等級ダウン
原則的に、自動車保険を使う事故を起こすと、事故1件につき3等級下がります。
事故の内容によっては、1等級ダウンの場合も、等級が下がらない場合もあります。
事故1件ごとのカウントなので、どれだけ保険を使っても最大3等級ダウン。無免許運転や飲酒運転など悪質な内容による事故でも同じです。
ただ、無事故で等級アップする場合と違い、年間で複数回保険を適用する事故を起こした場合はその回数ぶん、等級が下がります。
等級は満期日(解約日)から一定期間経過するとリセットされる
ノンフリート等級は、保険満期日もしくは解約日から一定期間経過するとリセットされます。
リセットまでの期間は6等級以上と5等級以下で異なります。
6等級以上の場合
6等級以上の場合は、満期日(解約日)の翌日から8日経過するとリセットされてしまいます。この期間を経過すると、再び新規加入と同じ6等級での契約になってしまうので注意しましょう。
等級を維持するためには7日以内に契約更新、もしくは別の自動車保険に申し込む必要があります。
もし、車を手放す必要があり自動車保険を解約する場合は、今後再開する可能性を考えて等級の中断手続きをおこないましょう。中断することで、最大10年間にわたってノンフリート等級を維持することが可能です。
5等級以下の場合
ノンフリート等級が5等級以下の人は、新規加入よりも割高な保険料なので、すぐにでもリセットしてほしいと思うことでしょう。
しかし、5等級以下の場合は、満期日(解約日)から13ヶ月はリセットされません。
6等級以上と同じように8日経てばリセットされるとします。そうすると、等級ダウン事故を起こして保険料が高くなっても、解約して1週間程度待ってから新しく契約し直すことができてしまいます。
デメリット等級になっているということは、それだけリスクが高いドライバーであるということです。保険会社からすれば保険金を支払うリスクが高いわけですから、すぐに等級を元通りにしないのは当然です。
他の保険会社に乗り換えたらばれないんじゃ……と思った人もいるかもしれませんが、保険会社間で情報共有しているので確実にばれます。
ノンフリート等級がわからない。調べ方は?
ノンフリート等級は保険証券に記載があります。
保険証券はノンフリート等級以外にも契約者や保険契約期間、補償内容が記載されている重要なものです。紛失しないように保管しておきましょう。
等級が必要になるのは、契約更新の時期。他社への乗り換えなどを検討して、自動車保険の見積もりをする場合に必要になります。
もし、保険証券がすぐに出てこないけど、等級を知る必要がある場合は、加入している損保会社の窓口に問い合わせてみましょう。
名前や車両番号など、契約者の確認ができれば教えてくれます。
ノンフリートとフリートの違い
ちなみに、自動車保険にはノンフリート契約とフリート契約があります。
9台までの契約はノンフリート、10台以上の契約はフリートです。
ノンフリートとフリートの大きな違いは、事故のカウント方法です。ノンフリートは、補償額に関係なく、事故の回数でカウントします。一方、フリートは補償額でカウントします。
例えば、保険契約期間中に補償額が1億円の事故、100万円の事故、30万円の事故を起こして保険を適用したとします。その場合、ノンフリート契約では3回の事故とカウントし、フリート契約では1億130万円の事故とカウントするのです。
一般的に、個人向けはノンフリート契約で、フリート契約は法人向けとなります。ですから、基本的に個人で契約する場合はフリート契約について気にする必要はありません。
まとめ
ノンフリート等級制度はわかりづらい部分が少なくありません。
でも、無事故の優良ドライバーは保険料が優遇され、事故を起こすドライバーは保険料が割高になる制度だと、シンプルに考えることができます。
保険や特約を付帯するかどうかや年齢条件などを設定して細かく保険料を抑えることも必要。でも、根本的に自動車保険の保険料を下げるためには、安全運転を心がけて事故を起こさないようにすることが重要です。