事故で乗っている車が全損したなどの理由で廃車にする場合、廃車の手続きをおこないます。
加えて、その車で加入している自動車保険も必要なくなるので、解約の手続きをおこなうことになりますが、通常の解約と違って注意することはあるのでしょうか。
ここでは、廃車による自動車保険の解約についてと、解約する場合の注意点をご紹介します。
自動車保険の解約は廃車の前?廃車の後?
廃車にするには、普通自動車の場合は陸運支局で、軽自動車の場合は軽自動車検査協会で抹消登録をおこないます。抹消登録には2種類あります。一時抹消登録と永久抹消登録です。
海外赴任や盗難などで一時的に車を使用しない場合は一時抹消登録になります。事故や自然災害などで全損し、もう乗ることができずに廃車にするしかない。この場合は永久抹消登録です。
自動車保険を解約する場合は、抹消登録をおこなう前でしょうか。それとも抹消登録してからでしょうか。
解約できるタイミングは、強制保険である自賠責保険と任意保険とで異なります。
自賠責保険の解約は廃車後にしか手続きできない
自賠責の解約手続きは、廃車の手続きが完了してからでないとできません。
自賠責は公道を走る場合に必ず加入しなければいけない保険です。ですから、解約するには抹消登録をして、その車に乗らないことを証明する必要があります。
その証明には、抹消登録時に発行される登録事項等証明書(抹消登録証明書)が必要になります。
任意保険は廃車前でも解約手続きできる
一方で任意保険は廃車手続きをおこなう前に解約することが可能です。任意保険は法律で加入が義務付けられているわけではないので、加入していなくてもその車を公道で運転できるからです。
任意保険の場合は廃車が理由による解約だからといって、特別なことはありません。
解約の手続きは、自賠責よりも簡単。電話で伝える必要のある保険会社が多いですが、手続きは保険会社所定の書類に記入すれば良いです。
保険の残存期間に応じて支払った保険料が返金される
自賠責も任意保険も、保険の残存期間に応じて支払った保険料の一部が返金されます。このお金のことを解約返戻金といいます。
自賠責の場合は残存期間が1ヶ月以上ある状態での解約であれば、解約返戻金を受け取れます。自賠責の解約返戻金は、ほぼ残存期間の月割金額になります。
任意保険も年払いで保険料を一括で支払っている場合は、残存期間に応じて解約返戻金を受け取れます。ただ、任意保険の場合は自賠責と違って、単純な月割金額ではありません。
任意保険の場合は、短期率という係数がかけられて解約返戻金が計算されます。そのため、単純に月割で計算される金額よりも少なくなってしまいます。
どちらの場合も、実際にどのぐらいの保険料が戻ってくるかは保険会社に確認してみると良いでしょう。
任意保険は中断手続きも忘れずにおこない、等級キープを
任意保険のノンフリート等級が7等級以上の場合は、途中解約だけでなく中断手続きも忘れずにおこないましょう。
中断証明書を発行しておくと、原則5年間は等級をキープしておくことができます。その時点で車を所有する予定がなかったとしても、再び乗るかもしれません。中断手続きをせずに等級リセットされるのはもったいないです。
中断手続きについては「自動車保険は中断して等級をキープ!中断証明書の発行条件や手続き、再開する方法」もあわせてご覧ください。
なお、任意保険の場合、廃車による解約では特に必要な書類はありませんでした。しかし、中断手続きの時には、廃車する時に発行される登録事項等証明書(抹消登録証明書)が必要です。
任意保険は解約だけではなく中断手続きもあわせておこなうことを考えると、自賠責保険も任意保険も廃車の手続きが完了してから解約することになります。