自動車事故を起こしてしまった……。でも、弁護士特約に入っていない、どうしよう……。
そんな時に弁護士に無料で相談できる公的機関が日弁連交通事故相談センターです。
ここでは日弁連交通事故相談センターについて、利用するデメリットや注意点などをご紹介します。
交通事故という非日常の状況にパニックになるかもしれません。そんな時に知っておくと安心です。
日弁連交通事故相談センターとは
日弁連交通事故相談センターとは、日本弁護士連合会(日弁連)が交通事故の被害者救済を目的として設立した公益財団法人です。
1967年(昭和42年)設立ですから、もう50年以上になります。
交通事故事案の経験が豊富な弁護士が交通事故の無料相談や示談の斡旋をおこなってくれます。
東京に本部、全国に39支部あります。他にも、市役所の中などに158の相談所があります。
日弁連交通事故相談センターにお願いできること
日弁連交通事故相談センターにお願いできることは、大きく2つあります。
交通事故に関する無料相談と示談斡旋です。
どういう内容の相談ができるのか?
基本的には交通事故に関するどんな相談でも受けてもらえます。
もう少し具体的な例を挙げると、以下のような内容です。
- 損害賠償額の算定
- 賠償責任の有無、過失割合
- 賠償責任者の認定
- 損害の請求方法
- 政府保障事業の手続き方法
- 示談の仕方や時効など
そもそも交通事故のあとにどういったことで
示談の斡旋や示談が不調に終わった場合の審査をおこなってくれる
日弁連交通事故相談センターの弁護士が事故の相手方との間に入ってくれて、示談が成立するように中立的な立場で手伝ってくれます。平成28年度の実績では示談成立が83.99%です。
おこなってくれるのはあくまでも示談の斡旋であり、示談交渉を代行してくれるわけではありません。
その示談が不調に終わり、話がまとまらなかった……。一般的には、その後は調停、それでもまとまらなければ訴訟という流れになります。
ですが、日弁連交通事故相談センターは条件があるものの、専門家によって構成される審査委員会が審査をおこなってくれます。
審査をおこなってくれる条件は以下のいずれかの場合です。
- 下記共済が当事者の一方(被共済者)の代行をしているもので、被害者から審査の申出があったとき。
- 被共済者から審査の申出があったものにつき、被害者がその申出に同意したとき。
これらに該当して審査がおこなわれた結果について、事故の被害者は必ず同意する必要はありません。
ですが、被害者が同意すれば、相手方の共済は尊重しなければいけません。そして、審査結果に沿った内容で示談成立書が作成されます。
また、日弁連交通事故相談センターが指定している共済は、下記の9つです。
- 全労済(全国労働者共済生活協同組合連合会)の「マイカー共済」
- 教職員共済生協(教職員共済生活協同組合)の「自動車共済」
- JA(農業協同組合)の「自動車共済」
- 自治協会(全国自治協会)・町村生協(全国町村職員生活協同組合)の「自動車共済」
- 都市生協(生活協同組合全国都市職員災害共済会)の「自動車共済」
- 市有物件共済会(全国市有物件災害共済会)の「自動車共済」
- 自治労共済生協(全日本自治体労働者共済生活協同組合)の「自動車共済」
- 交協連(全国トラック交通共済協同組合連合会)の「自動車共済」
- 全自共(全国自動車共済協同組合連合会)の「自動車共済」、全自共と共済連(全国中小企業共済協同組合連合会)の「自動車共済(共同元受)」
日弁連交通事故相談センターを利用する際の注意点
日弁連交通事故相談センターを利用する条件はほとんどありません。
事故の当事者は利用できますが、注意しなければいけないこともあります。
無料相談には回数制限がある
交通事故にかかること全般の相談が無料でできますが、無制限ではありません。
1つの事案に対して5回までの回数制限があります。また、一部の相談所では3回までとなっているので注意しましょう。
示談斡旋ができない事故事案がある
被害者が死亡したり、怪我を負ったりする人損事故や人損をともなう物損事故の場合はすべて示談の斡旋をやってもらえます。
しかし、物損のみの事故の場合は条件があり、該当しなければ対応してもらえません。
その条件とは、下記のとおり。
損害賠償者が、下記の一般社団法人日本損害保険協会加盟保険会社による、物損の示談代行付きの保険に加入している場合、物損のみでも示談あっ旋が可能です(平成30年1月現在)。
平成30年(2018年)1月時点での指定されている保険会社は以下となります。
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- アクサ損害保険株式会社
- 朝日火災海上保険株式会社
- イーデザイン損害保険株式会社
- AIG損害保険株式会社
- SBI損害保険株式会社
- 共栄火災海上保険株式会社
- セコム損害保険株式会社
- セゾン自動車火災保険株式会社
- ソニー損害保険株式会社
- 損害保険ジャパン日本興亜株式会社
- そんぽ24損害保険会社
- 大同火災海上保険株式会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 日新火災海上保険株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 三井ダイレクト損害保険株式会社
まとめ
以上、事故事案の経験が豊富な弁護士に無料で相談できる公的機関、日弁連交通事故相談センターをご紹介しました。
保険に加入していて自身の過失割合がゼロでなければ保険会社の担当者が示談交渉をおこなってくれます。でも、その担当者の言ってることが腑に落ちない……など疑問も出てくるかもしれません。
そういった内容でも相談できるので、日弁連交通事故相談センターの存在を知っておくと良いと思います。